Technical investigation / exploratory evidence

control_strategy_analysis3
解析内容と結果の論文化レビュー

FUTTO装着歩行後のEP・Stiffness表現を、非無作為・歴史的参照群を用いて技術的に検討した現行解析の、主張可能性・結果・限界を一つにまとめた記録。

作成日: 2026-09-02 解析結果: control_strategy_analysis3 単位: 対象者単位を基本
論文化候補: 探索的技術研究 FUTTO効果の因果推定ではない クラスタは主結果に採用しない
01

方針

最初に、現在のデータ構造で論文として守れる問いを定める。医療介入の有効性を証明する枠組みではなく、EP・Stiffnessを用いた制御表現の抽出、適用可能性、個人内変化の記述を中心にする。

方針:FUTTOの臨床的有効性を因果推定するのではなく、通常歩行下に現れるEP・Stiffness制御表現を物理的特徴量へ落とし込み、FUTTO使用期間の個人内変化・退院時までの持続性・装着直後の変化を、usual群を歴史的な参照分布として比較する探索的技術研究として論文化する。

13
FUTTO before→2w
完全な対象者数
10
FUTTO 2w→after
観測できた対象者数
12
2w非装着→同日装着
比較対象者数
5
主な制御特徴量
MK / AK / CK / IR / Iphi
0
安定性基準を満たした
主クラスタ数
論文の中核
FUTTO before→2wの個人内変化。 MK・AK・CKは10/13例で同方向に増加し、Iphiも8/13例で増加した。まず「10セッションの期間に、どの制御表現がどの程度変わったか」を示す。
参照比較
usual before→afterとFUTTO 2wのusual after分布。 通常リハビリ・回復・群構成の違いを含むため、FUTTO効果ではなく、変化の背景・参照範囲として扱う。
探索
2w→afterの持続性、FPCA、臨床指標との関係。 仮説形成には有用だが、wash-out、媒介、神経制御の因果経路とは言わない。
主張しない
FUTTO群がusual群より優れる、安定した制御タイプが存在する、という結論。 非無作為・歴史的対照、欠測、退院時点差、少数例のため現データでは支えられない。
02

研究設計とデータの読み方

この解析は、群間の同時比較ではなく、usual群とFUTTO群を異なる時期に集めた歴史的参照比較である。時点ラベルを因果的な時間軸として読み替えないことが重要である。

対象者と観測時点

  • usual群: 13例。通常杖歩行のbefore / after。
  • FUTTO群: 13例。通常杖歩行のbefore / 2w / after、および2w時点の装着歩行。
  • FUTTO群のafter欠損: S4・S10は予定より早い軽快退院、S9は状態悪化によるドロップアウト。
  • S3は2w通常歩行はあるが、同日装着歩行が欠測。
  • 日付・日数は使わず、before→2wを厳密な同期間の変化率とは扱わない。

固定された測定順序

2w時点は、まず通常杖歩行を計測し、その後に同じ日にFUTTO装着歩行を計測した。したがって装着前後の差は、装着に関連する変化ではあるが、疲労・反復・順序効果を分離できない。

before通常杖歩行
2w通常杖歩行
同日futto装着歩行
after通常杖歩行

入力・生成物の出所

表1. 解析資料のprovenance
資料役割パス入力方法 / 状態
実行スクリプト入力確認、特徴抽出、統計、図表を一括実行C:\Users\furuk\Desktop\F_lab\Study\python\control_strategy_analysis3\run_control_strategy_analysis3.pyプログラム生成元 implemented
既存入力データGraph、phase、歩行指標、臨床指標C:\Users\furuk\Desktop\F_lab\Study\result_python_renew既存原票/暫定フォールバック READMEの入力契約に従う
数値結果対象者特徴、変化、FPCA、クラスタ、QCC:\Users\furuk\Desktop\F_lab\Study\result_python_renew\control_strategy_analysis3\tablesプログラム生成 run完了
図分布、変化ヒートマップ、FPCA診断C:\Users\furuk\Desktop\F_lab\Study\result_python_renew\control_strategy_analysis3\figuresプログラム生成 11 figures
理論・指標の背景資料EP、Stiffness、ゼロ空間、XCOM、EMG/PCAの考え方ユーザー提示のHirai.pdf、tominaga.pdf、ゼロ空間利用.pdf、rsj2025__投稿用.pdf、Foot-guided control...pdf、sugihara1.pdf、XCOM.pdf、OAGmax遷延.pdf手入力(研究者提供) 最終稿では頁・引用箇所を再確認

添付資料中の提案・記述は理論的背景と実装上の参考として扱い、今回の結論は研究目的、測定順、欠測理由、生成された数値結果を基準に再評価した。

usual群とFUTTO群のendpoint speed support
図1. 主要比較におけるendpoint測定場面歩行速度の重なり。群の速度範囲は完全には重ならず、速度調整結果は観測範囲内の比較として弱く解釈する必要がある。出所: 解析生成図 primary_speed_support.png
03

特徴量と物理的意味

主特徴量は、同じ剛性行列から得られる3つの幾何学的成分と、EPの位相が実軌道とどの程度整合するかを示す2つの指標に分けた。この分け方により、剛性の大きさ・方向配分・交差結合・EPと実軌道の位相を混同しにくい。

MK = (KR + Kφ) / 2
AK = (KR − Kφ) / (KR + Kφ)
CK = 2 KRφ / (KR + Kφ)
IR = cos(phase(wR, observed R)),   Iphi = cos(phase(wφ, observed φ))
wR = −w1,   wφ = w2
表2. 主特徴量の定義、解釈、選択理由
特徴量物理的な意味採用理由解釈上の注意
MK立脚期におけるR方向とφ方向の平均的な剛性レベル。全体の剛性の大きさを表す。最初に読むべき絶対レベル。FUTTO 2wとusual afterの参照比較の主指標にした。モデル相対的・activation-based stiffness。N/mの絶対剛性、純粋な神経制御とは呼ばない。
AKR方向とφ方向の剛性配分の非対称性。正ならKR側、負ならKφ側の寄与が相対的に大きい。MKと異なる方向性の情報を追加できる。平均剛性との重複を抑えた方向特徴。分母が小さい場合に不安定になり得る。絶対レベルではなく比率。
CKKRφの交差結合をtraceで規格化した指標。符号は楕円の傾き・結合方向に関係する。R–φ間の結合を、MKやAKとは別に示す。同じ剛性行列由来なので、楕円面積・扁平率・回転角を同じ主解析へ重ねない。
IREPのR成分wRと実測R軌道の第一調波位相整合。+1は同相、−1は逆相、0付近は混在・不安定。EPを実軌道と比較するが、Rそのものや歩幅を再び scalar feature として重ねない。低振幅波形・位相分散の影響を受ける。Rは比較的同相という仮説の検証補助。
IphiEPのφ成分wφと実測φ軌道の第一調波位相整合。EP–実軌道の関係を位相の観点から示す。今回の仮説で最も重要なφ関連の指標。Stiffness方向とEP位相の関係を直接的に読む。位相の符号は定義・座標系に依存。Hiraiの機序を支持する候補だが、単独で因果機序を証明しない。

意図的に主特徴へ入れなかったもの

stiffness ellipse area、扁平率、回転角は、MK・AK・CKと同じ2×2剛性行列の情報を別表現で再記述する。全てを同じモデルやクラスタへ入れると、同じ物理情報を重複して数える危険があるため、主特徴から外した。

Rの振幅・軌道そのものも主scalarにはしなかった。歩幅、XCOM、実軌道と情報が重なるため、実軌道との位相整合はIR/Iphi、波形形状はFPCAへ分担させた。

縦断比較の分母

EMGは各時点で取得したMVC(2回中最大)で正規化されている。同一機器・同一手順・SENIAM準拠でも、MVCの時点差はEP/Stiffnessの縦断変化に入り得る。

したがって、本研究のStiffnessは「相対的なactivation-based stiffness表現」と定義する。 絶対的な機械剛性や、分母の影響を除いた神経制御変化と断定しない。

04

結果:個人内の変化

結論はp値一つではなく、中央値、四分位範囲、同方向に変化した対象者数、個人ヒートマップ、そして2w後の戻り方を合わせて判断する。下表の値は生の変化量であり、速度調整後の図とは区別して読む。

表3. 各区間における患側特徴量の変化(中央値[Q1, Q3]、正方向/負方向の人数)
区間nΔMKΔAKΔCKΔIRΔIphi
usual before→after13 +1,038.6
[−1,717.8, +4,002.9] / 8:5
+0.00137
[−0.00024, +0.00262] / 9:4
+0.00790
[−0.00759, +0.01669] / 7:6
−0.0201
[−0.1864, +0.2057] / 5:8
−0.1508
[−0.3542, +0.1715] / 5:8
FUTTO before→2w13 +979.5
[+69.4, +2,848.8] / 10:3
+0.00310
[+0.00026, +0.01191] / 10:3
+0.01681
[+0.01083, +0.02865] / 10:3
−0.0697
[−0.1910, +0.2851] / 5:8
+0.1794
[−0.1275, +0.5844] / 8:5
FUTTO 2w→after10 −1,236.1
[−5,051.6, +95.8] / 3:7
−0.00446
[−0.00740, −0.00275] / 2:8
−0.01869
[−0.02455, −0.00247] / 2:8
−0.0820
[−0.1465, +0.1239] / 4:6
−0.0456
[−0.3278, +0.3200] / 4:6
FUTTO before→after
観測例のみ
10 +423.6
[−3,515.6, +1,230.2] / 5:5
−0.00369
[−0.00593, +0.00915] / 4:6
−0.01098
[−0.02909, +0.03167] / 4:6
−0.0128
[−0.1786, +0.1059] / 4:6
+0.3151
[−0.2292, +0.3941] / 7:3
FUTTO 2w非装着→同日装着12 −196.0
[−3,856.4, +801.2] / 4:8
−0.00056
[−0.00316, +0.00037] / 4:8
+0.00063
[−0.00590, +0.00311] / 7:5
+0.0413
[−0.0138, +0.1246] / 8:4
+0.2097
[−0.0344, +0.5095] / 9:3

人数表記は「正方向:負方向」。四分位範囲が0をまたぐ指標は、集団として同方向に変化したとは断定しない。速度調整後は別表・図で示す。

usual群とFUTTO群の速度調整済み変化ベクトルのヒートマップ
図2. 主要2区間の個人変化ヒートマップ。各列を中央値/MADでロバスト標準化した速度調整済み変化で、色の強さは特徴量間の絶対量を直接比較するものではない。行は個人であり、同じ色が多いことよりも、個人ごとの組み合わせと群内のばらつきを読む。出所: 解析生成図 training_change_heatmap.png

何を根拠に「2週で変化し、その後一部が戻る」と読めるか

MK / AK / CK
FUTTO before→2wでは、MK・AK・CKの中央値が全て正で、10/13例が正方向だった。2w→afterでは中央値が全て負、AK/CKは8/10例が負方向だった。したがって、2週時点の剛性レベル・方向配分・交差結合の変化は退院時に弱まる/戻るパターンが最も明瞭である。
Iphi
FUTTO before→2wでは中央値+0.179、8/13例が正方向。観測例のbefore→afterでは中央値+0.315、7/10例が正方向で、変化が残る可能性がある。一方、2w→afterの生値中央値は−0.046であり、2週の変化が完全に維持されたとも、きれいに戻ったとも言えない。
IR / φ波形
IRはbefore→2w、before→afterともに方向が混在する。FPCAではw_phiのPC1 scoreが上昇したが、PC1の説明分散は32.3%に留まる。φ関連の信号は有望だが、Iphiの補助的な機序候補として扱うのが安全である。
usualとの違い
usual before→afterでもMK・AKの中央値は正方向だった。よって「FUTTO群だけが変化した」ではなく、MKの上昇自体は通常経過と重なるが、AK/CKのまとまりとIphiの方向がFUTTO期間で異なる可能性がある、という表現が適切である。

絶対的なMKレベル:主参照比較の位置づけ

表4. 患側立脚期平均MKの絶対分布(中央値[Q1, Q3])
群 / 時点n中央値IQR解釈
usual before1313,1938,970–17,933usual群の開始時参照
usual after1313,70111,012–18,510退院時参照。S11=60,300の高値が平均を押し上げる。
FUTTO before135,5163,513–8,346群の開始時にすでにusual群と異なる。
FUTTO 2w136,5555,734–11,055主参照比較のendpoint。絶対レベルはusual afterより低い。
FUTTO 同日装着126,9765,830–10,905非装着2wとの同日比較。
FUTTO after105,9354,841–9,470観測できた10例のみ。欠測はinformativeであり得る。
usual afterとFUTTO 2wの患側立脚期平均MK分布
図3. usual afterとFUTTO 2wのMK分布。点は個人、黒い記号とエラーバーは中央値とIQR。FUTTO 2wの中央値は低いが、FUTTO beforeも低く、歴史的群構成や初期状態の差を含むため、差をFUTTO効果とは読めない。出所: 解析生成図 primary_MK_distribution.png
ANCOVAの批判的な位置づけ。 FUTTO 2w−usual afterの調整差は−1,970.3、HC3 95%CIは−8,599.3〜4,658.6、対象者bootstrap 95%CIは−6,441.8〜5,560.0(n=26)。補足的な正規近似p=0.560で、ゼロを含む。これは「差がない」と証明したのではなく、歴史的非無作為比較で推定精度が低いことを示す。速度の共通支持範囲は34.76〜95.49 cm/s、プール幅に対する重なりは58.98%であり、速度調整は外挿を含み得る。論文では、ANCOVAを効果検定ではなく参照分布の調整比較として置く。
05

装着直後に言えること

2w通常歩行から同日futto装着歩行への比較は、FUTTOの即時的な「装着関連変化」を見るための補助解析である。測定順序が固定されているため、純粋な装着効果とは分離しない。

剛性そのもの

ΔMKの中央値は−196.0で、8/12例が負方向。AKは中央値−0.00056、8/12例が負方向。CKは中央値+0.00063でほぼ0に近い。

装着直後に大きな剛性レベル変化が一様に起きたとは言いにくい。 少なくとも現結果では、FUTTOの即時作用をMKの増減だけで説明しない方がよい。

位相関係

IRは中央値+0.041、8/12例が正方向。Iphiは中央値+0.210、9/12例が正方向。

装着直後は、剛性の絶対量よりもEPと実軌道の位相整合が動いた可能性がある。ただし、反復・疲労・順序効果を含む「device-associated phase change」と記載する。

イベントベースの左右タイミング非対称性
図4. 左右協調の補助指標としてのイベントベースのタイミング非対称性。左右の同時波形がないため、これは瞬時の左右協調やcoherenceではなく、接地・離地イベントの非対称性である。出所: 解析生成図 bilateral_event_asymmetry.png
06

FPCA:見えたことと、見えないこと

FPCAは、before患側曲線26例でchannel別の共通basisを作り、後時点を同じbasisへ投影した。波形の形状変化を読むための可視化としては有用だが、3成分のscoreを完全な波形の代理とみなしたり、群差検定・クラスタ入力に使う段階ではない。

FPCA before入力波形と群別要約
図5. FPCAに入れたbefore波形の個人差と群別要約。k_radial・MKはusual群が高めに見え、w_phiはばらつきが大きい。basisが初期群差を含むことを示すための入力点検であり、介入効果ではない。
FPCAの説明分散と累積説明分散
図6. channel別の説明分散。MKは3成分で95.5%を回収する一方、w_phiは67.4%に留まる。channelごとにFPCAの説明力が異なる。
表5. before-fit FPCAの説明分散、3成分再構成誤差、LOO安定性
channelPC1PC1–2累積PC1–3累積3PCの相対RMSE中央値LOO PC1 cosine 中央値 / Q05LOO PC3 cosine 中央値 / Q05
k_radial78.0%91.1%95.5%0.3040.99996 / 0.9920.99977 / 0.924
k_phi54.0%73.1%85.5%0.4390.99981 / 0.9870.99851 / 0.962
mk77.9%91.0%95.5%0.3040.99996 / 0.9920.99977 / 0.923
w_R45.5%65.3%75.3%0.3260.99957 / 0.9880.99853 / 0.957
w_phi32.3%53.8%67.4%0.5620.99756 / 0.9830.98746 / 0.808

相対RMSEは曲線のSDで割った3成分再構成誤差。LOO cosineは符号反転と成分順位合わせ後の負荷量類似度で、標本内basisの感度確認である。LOOの高値は外部妥当性や母集団での再現性を保証しない。

FPCAの平均波形と各主成分方向の平均プラスマイナス2標準偏差
図7. 黒線は平均波形、破線は各PC方向に平均から±2 SD動かした波形。これは95%信頼区間やデータ範囲ではない。PCの符号は任意なので、上下だけでなく負荷量とscoreを一緒に読む。
FUTTO群の患側FPCA score軌跡
図8. 同一before-fit basis上のFUTTO患側score軌跡。MK PC1の中央値はbefore 55,940→2w 41,092→同日装着37,849→after 44,766で、2wで変わりafterに一部戻る。MK PC2も2wで変位し後時点に戻る傾向。w_phi PC1は0.176→0.493→0.506→0.528と上昇が残る。w_R PC1は−0.553→−0.360→−0.248→+0.212だが、これはFUTTO固有とは分けられない。横軸は等間隔の経過時間ではなく、測定カテゴリー。
FPCAの再構成誤差
図9. retained component数ごとの再構成誤差。w_phiは3成分でも相対RMSE中央値0.562で残差が大きく、w_phiのPC score変化だけで波形全体の変化を代表させない。
FPCAのleave-one-participant-out負荷量安定性
図10. 1例ずつ除外したLOO負荷量安定性。PC1は各channelで高いが、w_phi PC3はQ05=0.808まで低下する。basisが一人だけで作られたわけではないことは支持するが、少数標本の外部再現性は示さない。
07

妥当性上の懸念と「探索」とする理由

探索的とするのは、解析が無意味だからではない。物理的に意味のある特徴量と個人内変化は提示できる一方、現データでは因果・一般化・完全な波形代表性を同時に保証できないためである。

表6. 論文で明示すべき脅威と対応
懸念結果への影響論文上の扱い
非無作為・歴史的usual群群構成、測定時期、リハビリ環境が異なる。FUTTO群の低いbaseline MKも観察された。群差は因果効果・優越性・同等性ではなく、歴史的参照分布との比較。
通常リハビリと退院基準が非統制2w→afterには自然回復、通常リハ、退院時点、測定可能性が混ざる。「wash-out」と断定せず、「2wの変化が退院時に弱まった/戻った」と記述。
after欠測が理由付きS4/S10の早期退院、S9の悪化。欠測がランダムとは言えない。FUTTO afterは観測10例、補完は感度分析。連続制御指標を主解析で補完しない。
同日装着の固定順序疲労・反復・順序効果が装着差へ入る。「即時効果」ではなく「device-associated change」と書く。
時点ごとのMVC正規化分母の変化がEP/Stiffness変化へ入る。absolute neural controlではない。relative activation-based stiffnessとして定義し、絶対剛性の縦断変化とは言わない。
FPCAのchannel差w_phiは3PC累積67.4%、再構成誤差0.562。3 scoreで全波形を説明できない。FPCAは形状可視化・仮説生成。w_phiの結論はIphiと原波形で補強する。
左右の同時波形がない片脚周期をまたぐ瞬時左右協調、coherence、時間遅れを直接計算できない。接地・離地イベント非対称性と、脚ごとのshape similarityに限定。
XCOMはproxy同側hip-based XCOM–ankle距離で、全身CoM・GRFを用いた真のMargin of Stabilityではない。「XCOM proxy」「contact-distance proxy」と明記し、MoSと同一視しない。
少数例・離散アウトカム個人差、外れ値、FAC/自立度の天井床効果が大きい。媒介分析には不足。個人軌跡、中央値/IQR、効果の方向を中心にし、p値・媒介・因果経路を主張しない。

クラスタリングはなぜ主結果にしないか

変化5特徴(ΔMK、ΔAK、ΔCK、ΔIR、ΔIphi)によるWard/PAM診断は、見た目に群を分けることはできても、事前に定めた安定性基準を満たさなかった。

表7. 変化クラスタの診断結果
方法k最小クラスタsilhouettebootstrap ARI 平均bootstrap ARI Q05判定
Ward260.4420.695−0.121not established
Ward310.4770.7100.160not established
PAM270.4040.370−0.119not established

安定性基準はmin size≥4、silhouette≥0.25、bootstrap ARI平均/Q05≥0.70/0.50、LOSO平均/Q05≥0.70/0.50。したがって、baselineをクラスタ化せず、変化をヒートマップ・個人軌跡で示す現在の判断は妥当。

患側baseline特徴量のヒートマップ
図11. 患側baseline profile。色は列ごとのロバスト標準化であり、baseline群をクラスタとして確定していない。baseline構造を可視化し、変化クラスタとの混同を避ける図である。
08

歩行・臨床アウトカムとの関係

制御パターン→歩行指標→臨床評価という流れは研究として魅力的だが、現データでは因果経路や媒介を検定するのではなく、個人ごとの併行変化を示す補助的な問いに留める。

臨床的な到達状況

  • usual: FAC4以上 2/13(before)→7/13(after)。主定義の歩行自立は1/13→6/13。
  • FUTTO: FAC4以上 0/13(before)→4/13(2w)→7/10(after観測例)。主定義の歩行自立は0/13→4/13→7/10。
  • 欠測をcarry-forwardまたは理由整合方向で補うと、after自立は9/13。逆方向のstress scenarioでは8/13。

安全な書き方

「制御変数の変化が歩行自立を媒介した」とは書かない。ある対象者でIphiやMKの変化と歩行速度・FACの変化が同時に観察されたかを、個人軌跡と探索的順位相関で示す。

TUG・10MWTは副次的な連続アウトカム。FAC・歩行自立度は離散的で、退院基準が非統制であるため、群の平均改善として強く解釈しない。

09

論文化する際の推奨構成

最終稿では、解析コードの出力順ではなく、技術的問いに対する証拠の強さの順で示す。主結果と探索結果を分けることで、少数例でも「何ができ、何はまだ言えないか」が明確になる。

  1. 問いを技術調査として提示する。 EP・Stiffnessから、物理的意味を保った対象者単位の制御特徴を抽出し、通常歩行時の個人内変化を記述できるか。
  2. 特徴量を物理的に定義する。 MK・AK・CKを剛性行列の非重複な要約、IR/IphiをEPと実軌道の位相整合として説明する。Stiffnessの単位・MVC分母・QCを明示する。
  3. FUTTO before→2wを主たる時間比較にする。 個人点、中央値/IQR、正負人数、速度調整感度を示す。10/13例のMK/AK/CK上昇とIphi上昇を「観察された信号」として提示する。
  4. usual before→afterを背景参照として置く。 MK上昇はusualでも観察されるため、FUTTO特異性を過大評価しない。Iphiの方向が異なる可能性を、仮説生成として示す。
  5. FUTTO 2w→afterを持続性の記述にする。 MK/AK/CKの低下を「一部の戻り」と表現し、wash-outやFUTTOの消失とは断定しない。欠測3例の理由と観測10例を併記する。
  6. 同日装着を即時の装着関連変化として置く。 MKは大きく一様に変わらず、Iphiは正方向の対象者が多かったという、剛性量と位相の分離を示す。ただし固定順序の限界を併記する。
  7. FPCAは図示・仮説生成に限定する。 MKの形状は3PCで比較的要約できるが、w_phiは3PCでは不十分。scoreの上下だけで機序を論じず、Iphi・原波形・PC負荷量を併読する。
  8. クラスタは「成立しなかった」と報告する。 安定性診断を示すこと自体が、少数例でハードクラスタを採用しなかった根拠になる。
現時点の最も安全な結論文。 FUTTO使用期間中、患側立脚期の平均剛性、方向配分、交差結合、およびEP–実測φ軌道の位相整合に個人内変化が観察された。MK・AK・CKの変化は退院時に一部弱まった一方、Iphiの変化は一部で残った。ただし、同様のMK上昇はusual群でも観察され、群は非無作為で通常リハビリと退院基準も統制されていないため、FUTTO固有の因果効果やwash-outは確定できない。以上は、FUTTOを用いて制御表現の変化を追跡する技術の適用可能性を示す探索的所見である。

本文で避ける表現

表8. 表現の置き換え
避ける表現推奨する表現
FUTTOによりMKが改善したFUTTO使用期間中にMKの個人内変化が観察された
2w→afterでwash-outが起きた2w時点のMK/AK/CKの変化が退院時に弱まる/戻るパターンを示した
FUTTO群はusual群より優れていたFUTTO 2wの分布はusual afterの参照分布と異なった。群差は因果的に解釈しない
FPCAで制御戦略を同定したFPCAにより波形形状の主要な変動方向を可視化した
クラスタA/Bという制御タイプが存在した変化パターンには個人差があり、安定したハードクラスタは確立できなかった
XCOM-Margin of Stability同側hip-based XCOM–ankle contact-distance proxy
10

結果ファイルと再現入口

このHTMLは、既存の解析結果を読みやすく再構成したレビュー資料であり、解析そのものを再実行しない。数値の追跡は下記のCSVと元レポートから行える。

表9. 結果の追跡先
確認したい内容ファイル
全体の実行情報・制約report.md / run_manifest.json
各区間の個人内変化tables/changes_all_intervals.csv
主要ANCOVAtables/primary_endpoint_estimates.csv
FPCA説明分散tables/fpca_variance.csv
FPCA再構成tables/fpca_reconstruction.csv
FPCA LOO安定性tables/fpca_stability.csv
クラスタ品質tables/cluster_quality.csv
対象者特徴量tables/subject_features.csv

生成元: C:\Users\furuk\Desktop\F_lab\Study\python\control_strategy_analysis3 / 結果: C:\Users\furuk\Desktop\F_lab\Study\result_python_renew\control_strategy_analysis3